工法の概要
目粗し処理により既設コンクリート構造物の補強性能を確実に発揮する
高性能せん断補強工法です。
スパイラルアンカーは、供用中の既設コンクリート構造物を対象に、片側からあと施工でせん断補強を行い、部材のせん断耐力を向上させる技術です。

- ①構造物の表面から削孔し、孔壁内面を目粗し処理する。
- ②充填材を注入する。
- ③その孔内に、端部に定着体を取り付けた補強鉄筋を挿入する。
充填材硬化後に構造躯体と一体化でき、部材のせん断耐力を向上できます。
削孔および孔壁内面の目粗し処理は、コアドリルを用いて削孔を行う「コアボーリング型スパイラルアンカー」と削岩機等を用いて削孔を行う「ドリル削孔型スパイラルアンカー」の2種類があります。
これらは現場条件(施工スペース、作業環境、躯体の劣化状況等)により使い分けます。
カルバート等の供用中の構造物に対し、難しいとされていた内空側からのせん断補強施工ができます。
せん断耐力のみを向上させて、せん断/曲げ耐力の比を改善できるため、構造物の耐震安全性が向上します。
主な特徴
- ①地中の既設RC構造物(部材厚0.35~4m)の片側からあと施工でせん断補強できます。
- ②孔壁内面の目粗し処理により既存躯体との付着性能が向上します。
- ③鉄筋端部の定着体により引抜性能が向上します。
- ④専用の可塑性グラウト使用により施工性が向上します。
- ⑤狭隘な空間でも施工可能です。
施工方法
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(1)「コアボーリング型スパイラルアンカー」では、既設コンクリート構造物を所定の深さまで削孔します。「ドリル削孔型スパイラルアンカー」では、削孔と同時に目粗し処理を行います。
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(2)「コアボーリング型スパイラルアンカー」では、コアドリル先端の削孔ビットを「目粗しビット」に交換し、削孔と同じ深さまで孔壁内面の目粗し処理を行います。「ドリル削孔型スパイラルアンカー」では、上記(1)で目粗し処理を完了するため、ここでの作業は省略。
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(3)充填材の注入と補強鉄筋の挿入を行います。この順序は施工条件(施工方向や削孔深さ)により異なります。
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(4)金ゴテ等を用いて表面仕上げを行います。孔内に充てんされたグラウト材が硬化すると補強鉄筋、グラウトおよび既設構造体が一体化します。
構成技術
特殊技術を駆使し、確実かつ効果的な補強を、
効率的に行うことが可能です。

専用の目粗しビットにより孔壁内面に凹凸を施すため、注入する充填材と既設躯体との付着性能が向上します。


専用可塑性グラウト
充填材の注入(横向き)
補強鉄筋の挿入(上向き)
建設技術審査証明取得技術
(一財)土木研究センターより建設技術審査証明を取得している技術です。
本審査証明は、前田建設工業株式会社、フジミ工研株式会社に交付されたものです。
建設技術審査証明事業
(土木系材料・製品・技術、道路保全技術)
建技審証 第1402号
(一財)土木研究センター
